表現の自由に二重基準?


【パリ=宮下日出男】風刺週刊紙が銃撃されたフランスで表現の自由をめぐる議論が起きている。焦点は「神への揶揄(やゆ)が許されるのに、テロリストに“同情”を表すと、なぜ罰せられるのか」。フランスでは社会秩序の維持に向け、表現の自由の範囲を厳格に取り決めているが、これを「二重基準」と疑問視する声も上がっている。

 議論の発端は著名な仏風刺芸人デュードネ・エムバラエムバラ氏が14日、地元当局に拘束されたことだ。「私はシャルリー・クリバリのような気分」。風刺週刊紙に連帯を示す標語「私はシャルリー」とユダヤ系食料品店人質事件の容疑者の名前を組み合わせた言葉をフェイスブックに書き込み、テロを擁護した疑いがかけられた。

 政府は事件後、「国民の団結」を保つため、宗教などに関連した「侮辱的な言動」への取り締まりを強化。同氏だけでなく、捜査対象になった事案は同日までに50件を超えた。泥酔中にテロを礼賛して有罪となった市民もいるという。

 フランスでは11日、テロを表現の自由に対する挑戦と見なし、大規模な「反テロ」デモが行われた。同氏には反ユダヤ主義的な言動で物議を醸した過去があるが、ネット上では取り締まりについて、「芸人や不快なその一味を支持はしないが、表現の自由の二重基準だ」「恣意(しい)的な拘束」などの疑問が呈された。

 フランスでは18世紀末に採択されたフランス人権宣言で表現の自由が掲げられたが、19世紀後半から名誉毀損(きそん)などにあたる対象が法律で順次規定された。民族、宗教などを理由に個人や団体への差別や憎悪などをあおる行為や、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の否定は処罰される。昨年秋に成立した反テロ法はテロを擁護する言動も禁じた。

 ただし、その中に「神」は含まれない。聖職者を特権階級とした身分制を擁する絶対王制を革命で倒して民主国家を樹立した経緯から、教会や神への批判や風刺は譲れない権利と位置づけられる。このため信者個人への侮辱は処罰の対象になるが、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画掲載など宗教そのものを題材にすることは罰せられない。

 仏紙ルモンドは、フランスは多様な人々が「自由」など共通の理念の下で暮らす「共和国」であり、世俗的な「非宗教の国」という「基本原則を思い起こさせる」とした上で、「宗教への冒涜(ぼうとく)」を禁ずる場合、「原則の見直し」が必要になってくるとしている。
参考文献 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150119-00000069-san-eurp

ライク・ザ・セラピー

spacer