“負動産”


空き家は老朽化して誰も住めなくなった家だけではない。庭付き一戸建てが並ぶ郊外の住宅地を歩けば、雨戸を閉め切った「空き家予備軍」がいくつもある。子どもたちが成人して独立し、残された高齢の親世代が体調を崩して介護や医療施設へ移ってしまったからだ。

子どもたちの多くは都心のマンション住まいだ。バブル崩壊後に長く続いた低成長で、大卒の初任給は横ばいが続き、夫婦共働きは珍しくない。子どもができ ても郊外の住宅に住んでいては通勤に時間をとられてしまう。それならば、職場まで電車で一本の近場に便利で手頃な値段の住まいがたくさんあるではないか -。

こう考える若い世代は、親が亡くなっても郊外の実家は要らない。売ったり貸したりできるならいいが、その見通しは立たず、固定資産税も重荷だ。兄弟が大 勢いた時代は長子が継ぐのが普通だが、少子化が進んだいまは押し付けが始まる。一人っ子の場合は新たな負債を背負うことにもなる。

新潟県南魚沼郡湯沢町。上越新幹線の越後湯沢駅のホームからは、林立するリゾートマンション群が見える。バブルの絶頂期、スキー場に近くて温泉プール付きのこれらの物件は投資用としても人気を集め、数千万円で取引された。それがいまの売値は10万円単位だ。

それでも売れない。バブルの終焉とともにスキー人口も縮小し、温泉街は寂れ、商店街はシャッター通りと化した。リゾートマンションは自然の中に建つため 傷みが激しく、日常生活を送るには不便な造りだ。一番の問題は維持管理費で、毎年の固定資産税に加え、毎月管理費や修繕積立金などの共益費がかかる。ほと んどが滞納されたままなので、たとえ1円で落札しても、数百万円単位に膨らんだ滞納共益費の負債を落札者が承継、負担しなければならなくなる。

逆に言えば、湯沢のリゾートマンションのオーナーはいったん購入したら最後、第三者に転売しない限り、負債から一生逃れることができない。流動性が著し く劣る不動産は、いわゆる「負動産」だ。この言葉の名付け親で不動産コンサルタントの牧野知弘さんは「湯沢のような事例は、かなり早い時期に郊外型マン ションでも現実になる」と予言する。

1950年代終わりから60年代はじめにかけ、首都圏の郊外には分譲マンションが登場し、土地付きの戸建てに手が届かない層がマイホームを取得した。だ が、ここもそろそろ築50年を超える。建物の老朽化とともに居住者も高齢化し、これから空き室が増えてくるのは避けられない。

戸建てと同じで理由で子ども世代は、こうした資産を引き継ぎたがらないだろう。負担が大きいからだ。大きな物件の持ち主は2015年1月1日から相続税 の評価額の基礎控除額が以前の6割に引き下げられたので相続負担が増す。空き室のままにしても固定資産税と維持管理費がかかる。売ったり、貸したりしたく ても質や立地面で問題のある物件は需要がない。

空き家の増加は個人の負担を増やすだけに留まらない。日本は世界のどの国も経験したことのない急速な人口減少と高齢化に直面している。

いま、首都圏に居住している65歳以上の高齢者は約810万人。うち約230万人が団塊の世代を含めた65~69歳だ。彼らは日本の高度成長にともなっ て地方から首都圏に出て郊外に一戸建てや分譲マンションを取得し、リタイア後のいまは旅行やグルメを楽しみ消費を牽引している。だが、いずれ75歳以上の 後期高齢者となり、自宅から高齢者用の介護や医療施設に移る第2のリタイアがやってくる。

そうなれば郊外の戸建てや分譲住宅がゴーストタウン化するのは湯沢の例をみても明らかだ。街の活力は失われ、犯罪が起きやすくなる。人口減で自治体の運営も厳しさを増すだろう。

国立社会保障・人口問題研究所は高齢化の進展で日本の総世帯数は2020年の5305万世帯をピークにその後は減少に転じると推計している。前述の牧野 さんは「世帯数が減少するなか、今まで通り住宅をせっせと作り、新しい家に住むという方程式は成り立たなくなる」とみている。参考文献http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000500-fsi-bus_all

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