枯れた油田再生計画


 日本のエネルギー・重工業界を代表する2社が米国で進める“あるプロジェクト”の行方が、関係者の間で大きな注目を集めている。

そのプロジェクトとは、石炭火力発電所の燃焼排ガスから回収したCO2(二酸化炭素)の注入・貯留によって、老朽油田の原油回収率を高めるというもの。 「CO2排出量削減」と「老朽油田の増産」を同時に実現する画期的なプロジェクトなのだが、昨年来の原油価格暴落で強い逆風にも見舞われている。

この「CO2による原油増産事業」は、米国電力大手・NRGエナジー社とJX日鉱日石開発(JXグループの原油・天然ガス開発会社)が事業者として共同 投資し、CO2回収プラントの設計・建設を三菱重工業が担っている。油田の生産投資も含め、総事業費は10億ドル(約1150億円)に上る。

■ 2016年後半の稼働が目標

舞台となるは、NRGエナジーが保有・運営するWAパリッシュ発電所(テキサス州ヒューストン)。敷地内に世界最大の専用プラントを建設し、燃焼排ガス から大量のCO2を回収。それをパイプラインで130キロメートル運び、同州ジャクソン郡にあるウエスト・ランチ油田に注入する。すでに昨年9月からプラ ントの建設工事を開始し、2016年後半の設備稼働・注入開始を目指している。

ウエスト・ランチ油田は、80年近く前に発見された典型的な老朽油田。現在の生産はわずか日量約500バレル(1バレル=約159リットル)まで細って いるが、それでも地下には岩にこびりついた粘着性の高い原油がまだ多く眠っている。CO2注入は、そうした老朽油田の原油回収率を高める石油増進回収策 (EOR)の1つ。CO2の働きで岩に付着した原油の粘着性が下がって取り出しやすくなり、より多くの原油回収が可能になる。

 JX日鉱日石開発の試算では、EORによってウエスト・ランチ油田の生産量は日量ベースで平均20倍以上にまで飛躍的に増やせるという。「トータルでは 約6000万バレルの増産が可能で、それを8~9年かけて取り出す」(中田賢明・常務執行役員)。同社はNRGエナジー社との折半出資会社を通じて、同油 田の生産権益の5割(JX分は実質25%)を取得。原油増産で得られる収入により、プラント設備などの先行投資を回収するビジネスモデルだ。

実は、CO2によるEOR自体は世界で複数の実例がある。ただし、それらはいずれも近隣の原油・ガス田で発生した天然CO2を有効活用したもので、注入 できる量も限られる。今回のような発電所の排ガスを使った原油増産はカナダで1件行われているだけで、純粋な商業ベースとしては世界初。それだけにエネル ギー業界での注目度は高く、昨年9月の起工式には米エネルギー省の高官も駆けつけた。

■ CO2回収プラントの本丸

このプロジェクトを支えるのが三菱重工の設備技術だ。同社はCO2回収プラントの世界大手。関西電力と共同開発した高性能吸収液を用いた独自のプロセス 技術を有し、1990年代後半から商用化。これまで化学工場向けの肥料増産のためのCO2回収設備を10基手掛けてきた実績がある。

その三菱重工が「CO2回収プラントの本丸」(飯島正樹・執行役員フェロー)として、早くから着目していたのが原油増産用途だった。石炭火力発電所の燃 焼排ガスには、SOxやNOx、ダストなど多くの不純物が含まれる。このため、安定的にCO2だけを回収するには高度な処理技術が要求され、技術的なハー ドルが非常に高い。三菱重工は長年の技術研究に加え、国内外で行った実証実験で設備の信頼性を証明し、商用化に向けて営業活動を進めていた。

そうした中で舞い込んだのが、NRGエナジーからの誘いだった。排ガスのEOR活用を検討していたNRGエナジーは、三菱重工に対して設備面の協力とプ ロジェクトへの共同投資を打診。三菱重工はメーカーなので設備のみを引き受け、みずからが仲介役となって同じ三菱系の流れをくむJXを紹介し、プロジェク ト参画企業の顔ぶれが決まった。

CO2回収プラントは、排ガスの脱硫設備、CO2吸収・再生設備、圧送設備などで構成される。WAパリッシュ発電所は米国最大の火力発電所だけに、建設 する回収プラントも巨大だ。「規模としては、化学肥料工場などで使用される回収設備のざっと10倍以上」(三菱重工の飯島執行役員)。1日当たりの回収能 力は4776トンと世界最大で、同発電所の燃焼排ガスに含まれるCO2の9割相当を回収する。参考文献http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150209-00060176-toyo-bus_all&p=1

静岡、浜松、沼津の、独立できるビジネス「もみほぐし」「手もみ」「足つぼマッサージ」「マッサージ」のことなら「ライク・ザ・セラピー」

spacer