核なき世界


◇拍手喝采
スイス西部ローザンヌの大学で2日夜に開かれた記者会見。イランのザリフ外相が欧米側との合意の結果、「経済制裁解除の道が切り開けた」と説明すると、 イラン人記者の間から拍手が起こった。それは国際社会から全面的に否定されてきたウラン濃縮の権利を認めさせた粘り強い交渉への喝采でもあった。
イランの核兵器開発疑惑の外交解決を目指し、欧米など主要6カ国とイランが妥結した「枠組み合意」は、同国にとって緩いものではない。最終合意に達すれ ば、イランは今後10年、核開発が大幅に制限されるほか、約10トンの濃縮ウランも300キロまで削減することが義務付けられる。
それでも国連安保理決議による制裁の撤回を約束させ、未申告で始めた核開発を既成事実化させたことは、ウラン濃縮技術の取得を目指す北朝鮮などの国にとって「大きな勝利」に映る。ザリフ氏は「イラン国民は(欧米の)圧力に屈しなかった」と称賛した。

◇ケリー長官への圧力
主要6カ国側は、今回の協議で一枚岩とは言えなかった。特に安保理による対イラン経済制裁の解除をめぐり、フランスは一段と厳しい姿勢を保ち、ロシアや中国は6カ国の団結より自国の影響力確保を優先させた。
また、核協議を主導したケリー米国務長官に対しては、中東域内でイスラム教スンニ派とシーア派の宗派抗争が拡大する中で「イランを信用できないという周 辺国の厳しい視線」(国務省当局者)が大きな圧力となった。米交渉当局者は、記者団に対し「米政府内や議会への報告など、自分自身と交渉しているようだっ た」とも振り返った。
ザリフ氏に続いて記者会見したケリー長官は、「誤った解釈を明確にしたい」と米国内外の合意への批判に反論。「イランの核開発に課す条件は10年~25 年と続き、透明性の確保は無期限に実施される」と明言し、イランの核施設が合意後も温存されることへの懸念の払拭(ふっしょく)に努めた。枠組み合意は 「良い取引」への強固な土台になるものだとも主張した。

◇外交レガシーへ正念場
オバマ大統領は2009年にプラハでの演説で「核なき世界」を訴えて、同年にノーベル平和賞を受賞。11年に戦略核弾頭の削減を定めたロシアとの核軍縮条約「新START」を発効させ、国際公約を果たした。
イラン核協議が6月に最終合意に達すれば、核拡散の脅威への対応でも大きな成果を得ることになる。そのためには、各国がイランに追随しウラン濃縮などへ 容易に乗り出すことがない「厳しい合意」を成立させる必要がある。1979年のイラン革命で国交断絶した同国との関係の行方を定めることも含め、オバマ氏 は外交レガシー(遺産)の構築に向けて正念場を迎える。(ローザンヌ=スイス=時事)参考文献http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150404-00000019-jij-int

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