T4練習機


パイロット養成のために開発されたジェット機で、昭和63年9月に配備された。戦闘機であれば敵レーダーに捕捉されにくくする機体設計が必要だが、T4は丸みを帯びたフォルムを持っている。ニックネームの「ドルフィン」は、この体形から名付けられた。

戦闘を目的としていないため固定武装はない。設計は、操縦しやすさと安全性が最優先された。通常は2人乗りの前席に訓練生、後席に教官が乗り込む。

訓練生のフライトはそのたびごとに「優秀」「良好」「可」などと評価を下される。エンジン操作を間違えたり、訓練空域を外れて飛行したりすれば「不可」とされる。これが続けば適性がないとみなされ、パイロットの夢は絶たれる。

あるパイロットは「不可を取るとめちゃくちゃ落ち込む。『俺はパイロットになれないんじゃないか』と眠れなくなり、夜中に教官や先輩にアドバイスをもらいに行くこともあった」と振り返る。

T4に乗るのはパイロットの卵だけではない。空自の曲芸飛行チーム「ブルーインパルス」も平成7年からT4を使っている。10年の長野五輪開会式や、 14年に行われたサッカー・ワールドカップ日韓大会の日本代表初戦にも登場した。F15やF2のように実戦配備されている戦闘機ではなく練習機が選ばれた のは、厳しい財政事情で戦闘機の機数に余裕がないためだ。

鮮やかなアクロバット飛行は航空観閲式や各基地の航空祭で人気の的だが、本来の役割は国民を楽しませることではない。ブルーインパルスのために改修され たT4は「戦技研究仕様機」と呼ばれ、その名の通り飛行技術の研究を行っている。ブルーインパルスが蓄積した“戦いのノウハウ”は戦闘機部隊に伝えられて いる。

曲芸飛行自体も抑止力になる。多くの国の空軍がアクロバットチームを持っているが、空自パイロットは「曲芸飛行を見れば、その国のパイロットの技量がだ いたい分かる。高度な飛行技術を持っていれば『侮れない』となる」と解説する。航空観閲式に各国の駐在武官を招待するのは友好親善のためだけではなく、空 自パイロットの優秀さを見せつける意味もあるというわけだ。

過去3回、北朝鮮が核実験を行った際は、T4が日本海上空へと飛び立った。フィルターが入った筒状の「集塵(しゅうじん)ポッド」を搭載し、大気中の放 射性物質を収集するためだ。採取されたサンプルは文部科学省所管の財団法人・日本分析センター(千葉県)に持ち込まれ、円筒状測定器で放射性物質を分析す る。

放射能汚染を管理するため、集塵飛行するパイロットは、飛行前と飛行後にガイガーカウンターで放射線計測を受けるという。練習機とはいえ、T4もまた日本防衛の最前線に立っている。参考文献http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150403-00000512-san-pol

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