永田町


九月の自民党総裁選は、安倍首相にとって長期政権への関門の一つだ。ところが、早くも対抗馬が出ない「無風再選」になるとの観測が広がっている。

三月十二日夜、東京・紀尾井町の料亭「福田家」に中曽根康弘、海部俊樹、森喜朗、小泉純一郎、福田康夫、麻生太郎の歴代首相六人が顔をそろえた。安倍首相が呼びかけたもので、腹心の菅義偉官房長官も同席させた。

「第一次内閣の時はちょっと油断があって病気が出たが、健康管理をしっかりやれば政権は長持ちする」

九十六歳、最長老の中曽根氏のあいさつで会合は始まった。海部氏は街頭演説で直接国民に政策を訴えるようアドバイスした。小泉氏は持論の脱原発をまくしたてた。

首相は、終始にこやかに、聞き役に回った。

「長老の忠告に耳を傾ける懐の深さや、余裕のあるところをアピールする狙いだろう」。自民党関係者はそう解説する。

西川公也前農相の辞任などマイナス材料も出たが、内閣支持率は五割前後で底堅く推移している。菅氏は周辺に「衆院選で勝利したのが大きい。総裁選には誰も出られないんじゃないか」と言ってはばからない。

党内基盤も盤石だ。首相の出身派閥の細田派(細田博之会長)は、党内最大勢力を誇る。谷垣禎一幹事長ら執行部の政権を支える姿勢に変化はない。数少ないうるさ型の二階俊博総務会長でさえ、「(総裁)選挙がなくても大丈夫だ」と無投票再選を容認する姿勢を示した。

もっとも、党内には、選挙戦になった方がメディアの注目が集まり、党や内閣の支持率が上昇するとの期待感もある。自民党は党員数の拡大を進めてきたが、 勧誘の口説き文句は「総裁選で投票ができる」だ。無投票になれば、来年夏の参院選に向け、党員の結束に影響しかねないと懸念する声がある。それでも、「党 内に亀裂の芽を生みかねない総裁選は、デメリットの方が大きい」というのが、菅氏や党執行部の共通の考えのようだ。

首相に挑もうという気概を持ったライバルもいない。「ポスト安倍」の最右翼とされてきた石破茂地方創生相は今年の元日、「『俺が、俺が』という気持ちは ない」と、事実上の不出馬を表明した。岸田派を率いる岸田文雄外相も、「内閣でしっかり仕事していれば、総裁へのチャンスは巡ってくる」(同派幹部)と、 機が熟するまで待つ「熟柿戦略」をとっている。

例外的なのが、野田聖子前総務会長だ。総務会長時代、月刊誌への寄稿で、集団的自衛権の行使容認にケチをつけ、当選同期の首相との関係は冷え込んだ。三 月八日の党大会の会場で、「危機的な状況にある日本を支えようとする人であれば誰でも思う」と出馬への意欲ともとれる思わせぶりな発言もした。野田氏には 「初の女性首相」というアピールポイントもある。

だが、野田氏は無派閥で、派閥単位の応援は期待できない。引退した古賀誠元幹事長が後ろ盾とされるが、現職議員への影響力は限定的だ。「出馬に必要な二〇人の推薦人を集めるのは簡単ではない」との見方が専らだ。

絵に描いたような「安倍一強」体制だが、見えにくいところでは不満が蓄積している。

二月二十五日夜、各派閥の領袖の会合で、大島派を率いる大島理森会長は、細田氏にこう注文をつけた。

「本当は大臣にならなきゃいけない人がなっていない。総裁派閥の長なんだから総理に言っておいてほしい」

当選回数を重ねながら、閣僚になれていない「閣僚待機組」が増えている。人事への不満がいつか暴発するのではないかとの懸念があるとみられる。

今国会では、閣僚の「政治とカネ」を追及する民主党に対し、首相が「日教組(からの献金)はどうする」とヤジを飛ばし、事実誤認として陳謝する場面もあった。首相の態度には、自民党参院幹部も「熱くなりすぎだ。おごりととられても仕方ない」と眉をひそめた。

総裁選「無風」の前提は、好調な経済に裏打ちされた高い支持率だ。水物と言われる経済の状況が一変すれば、首相への批判が広がる可能性もある。

「治に居て乱を忘れず」

首相は三月二十二日の防衛大学校卒業式での訓示で、同校を創設した吉田茂元首相が防大一期生に託した言葉を紹介した。

平穏な時ほど、備えが大切だ――。そんな教訓は、首相自身にも当てはまる。参考文献http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150427-00010000-chuokou-pol

 

 

もみほぐし

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